弟の面倒も見なくてはいけないけれど、お友達とも遊びたい。私も長女だったからこの気持ち、よくわかります。結局妹と一緒に私の友達と遊んでいたっけ。とっても大切な存在なのに、いつも一緒にいるとそれがわからないことってありますよね。
このアドロもそう。弟のトトが邪魔くさいなぁと思うこともしばしば。けれど、いざ自分とそっくりのもう一人のアドロが現れて、弟のトトがついていってしまったら・・・。
もう一人のアドロの本当の正体は、なんとちょうちょう。お花畑にたくさんのちょうちょうが舞いながら、ふきちらされるように消えてしまうシーンはなんとも幻想的。ラストのページであわいオレンジ色にそまった夕暮れを帰っていく二人の姿、ほのぼのとしてあたたかい印象を受けます。兄弟だけに限らず、大切な人との関係を忘れそうになったとき、読んでほしい一冊です。