宮沢賢治のこのお話は初めて読みましたが、とても素敵な話でした。
絵を担当された田原田鶴子さんは、このお話に愛着を持って描かれてくれている気がしました。賢治が想像していただろうと思われる豪邸の素敵なお庭がここにあります!
とくに、表紙絵の庭は「農園?農園なの?」と、聞きたくなるくらい美しいです。
庭の向こうに見える畑や山の雰囲気で、やっとどこかの豪邸のお庭(賢治は農園と描いているけど、この絵本では庭にしか見えません)なんだなと、実感できます。
それにしても、この園丁さんの庭作りの技はすごいです。
お話そのものは「幻術」とタイトルにあるように、途中からものすごくファンタジーの世界に入り込みます。
チュウリップの光のお酒。レイ=ブラッドベリの「たんぽぽ酒」を思い出しました。
(興味のある方はこちらの絵本も読んでみてください。「たんぽぽ酒」は児童書としても出版されています)
このお話を絵本にしたことはすごいと思いますが、この絵本をどんな子どもたちに紹介するか?といわれると、ちょっと悩んでしまいます。
たぶん、宮沢賢治の作品が好きな大人たちが一番手にするんじゃないかな〜。
後、お薦めできるのは風景画が好きな人、お花が好きな人かな?
あまり小さいお子さんでは読んでも楽しめないかもしれません。
そういうわけ、星は4つです。