普段何気なく使っている言葉ほど
その意味を人にうまく伝えられないことがあります。
イギリスの作家コーリン・アーヴェリスさんが文を書いて
イザベル・フォラスさんが絵を描いた
『ばあばにえがおをとどけてあげる』という絵本には
「よろこび」という言葉の意味を
主人公のファーンという女の子がママに訊ねる場面があります。
ママが答えます。
「ひとのこころをしあわせにして、めをかがやかせるものよ」
なんて、素敵な答えでしょうか。
ファーンがそんな質問をしたのには
理由がありました。
ファーンが大好きなばあばが最近元気がないからです。
どうかしてばあばを元気にしてあげたい彼女は
町に出て「よろこび」を捕まえることにしました。
ファーンには町は「よろこび」に満ち溢れています。
子犬のにこやかな顔、小さな女の子の笑顔、池の水のきらめき、
でも、それを捕まえることはできません。
仕方ないので、ばあばに自分がみた話をしてあげました。
すると、どうでしょう、ばあばの顔に笑顔がもどりました。
何気なく「よろこび」という言葉を使い、
それをとても大層なものに思っているかもしれませんが、
よく見ると、この世界にはたくさんの「よろこび」に満ちています。
この絵本に出会えたのも「よろこび」。
ちなみにこの絵本の原題は「joy」、「よろこび」です。