読み始め、ちょっと怖かったです。
主人公のリナは、今まで一度も訪れたことのない「霧の町」によく
行こうという気になったなあ。東北らしい・・なんだか遠野物語にも通
ずるような山深さ、得体の知れなさを感じてしまいました。
東北の山の中には、きっとこんな場所があって、こんな不思議な人々が
普通に暮らしている。そんな風に思うのです。
いつものように長野にしておけばいいのに、だって、長野に住んでるか
ら私はわかるけれど、山ばっかりの長野でも東北の山深さには負けると
思うのだわ。
解説で金原瑞人さんが「日本のファンタジーはそれまでほとんど読んだ
ことがなかった」と、書いていたけれど、確かに、ファンタジーってい
うと、ここではない(ここではあっても)全く別の世界というイメージ
があるから、外国のものの方がよりいっそう楽しめそうな感じがします。
だけど、これまた金原さんが書いているように、舞台が日本だからか、
日本人が主人公だからか、英米のものよりすんなり入っていけました。
怖がりながらも、最後まで読むことができた私は、ファンタジーの国へ
の切符をもらえたようで、うれしかったです。もしかして怖がったとこ
ろも含めて認めてもらえたのかもしれない。
これでピエロの傘まで手に入れたら完璧なんだけどな。