西宮市の小学校で図工教師をしていた作者は、小学校を舞台に、小学生が活躍する物語をたくさん書いています。特に、高学年の男の子を描いたら、右に出る者なし。ストレートな正義感、成長過程での心の機微、女の子との微妙な感覚など、そのリアルさには時に胸が痛くなるほど。これは私に「ファンタジーって、外国の子供が魔法を使って冒険に出る物語なんかじゃなくて、日本の、しかも小学校が舞台で、小学生が主役でも成り立つものなんだ!」と気づかせてくれた作品です。日本の小学生がもしも、これを読まないまま小学校を卒業してしまうとしたら、あまりにもったいなすぎます! 数ある岡田淳作品は『放課後の時間割』あたりから読み始めて、最終的にたどり着いて欲しい究極の一冊です。