絵本の中は音がない。
ベッドの軋む音、床のへたる音、ヤカンの湯が沸く音や木々枝葉のざわめきがなんと、「やかましい!」 と訴えるおじいさん。
思い込みほど人騒がせなことはない。
それを村一番の博士の荒療治で気付かせてゆく。
「やかましい!」とはこういうことだぞ、とばかりに
ウシ、ロバ、ヒツジにニワトリだ、イヌだネコだと送り込む。
そう、静かな絵本の中に鳴き声をいーっぱい作り出した博士、
彼こそマクガバン翁か、タバック画伯はおとぼけで援護する。
我慢も限界のおじいさんがとうとう降参すると、
さぁ博士、腕差し指差しズバッと「すべて手放すのじゃ」。
訳も分からずおじいさん、同じポーズで家から手放す動物たち。
一頭、一匹、頭をうなだれ出て行く光景に、
絵本のこちら側は誰もが寂しさこらえて静かに家を見入る。
するとどうだ、おじいさんが耳に手を当てる・・・。
見る側も息を飲む、じーっと画面を覗き込む。
マクガバン博士荒療治の、一丁上がりクライマックス。
絵本の中と絵本の外が実にうまくシンクロする。
なんて素敵な絵本舞台なんだろう。
なんて素敵な想像の時間なんだろう。
マクガバン博士とタバック画伯に脱帽。
笑顔と感謝と。