近藤薫美子さんの絵が好きな息子が選んだ1冊です。
絵本のタイトルから内容が想像できなかったのですが、
それは、衝撃的なワンシーンから始まります。
イタチの母親の死。横たえた亡骸。
母親の死を感じた子イタチは母親の側を離れ、その代わりに
虫たちがやって来ます。日に日に増えつづける虫たち。
母イタチの亡骸を「いいにおいがする」「うまそうだな」と
おしゃべりしています。
そう、虫たちにとっては、亡骸は命を繋ぐ貴重な食料なんですよね。
虫以外にも、鳥やネズミといった小動物もやって来たりと、
母イタチの亡骸が日を追って分解されていく様子が日記として
描かれています。
死を食べて、命を繋いで生きていく虫や小動物たち。
リアルでありながらも虫たちの会話がユーモラスで、子供が
こういう連鎖を現実として知り、受け入れることへの抵抗を
和らげながら教えてくれる、とても貴重な1冊だと思います。
以前、息子に「動物や虫は死んだらどうなるの」という質問を
されたことがあり、この絵本で描かれているようなことを何度か
説明してやったことがあったため、息子はすんなりこの絵本の状況を
飲み込めていて、逆に、虫たちの嬉しそうな楽しそうな様子を見て
楽しんでいました。
ラストシーン、子イタチのその後にちょっと感動。
余談ですが、作者は実際にはタヌキの死骸を実際に見続けて
この絵本を作成したようです。作者の観察力に敬服しました。