西ブロックでの生活を始めた紫苑は、「他人のことを気にしていたら生きていけない場所」にいながら、「同じ人間」という意識を変えられずにいたため周りから見ればとても危うい生き方をしていました。紫苑のこの考え方が、今までもそしてたぶんこれからも随所で危険に巻き込まれるきっかけにもなっているのですが、殺伐としたストーリーの中、紫苑の言動が唯一、読者側の感覚に近いということもあり、ホッとさせられる部分でもあるように思います。
火藍からのメッセージを受け取ったネズミは、矯正施設へ潜り込むことを決意。それは自分のため?紫苑のため?矯正施設の新たな情報を知れば知るほど、それは困難極まりないことであり、どうするんだろう?どうなるんだろう?とドキドキさせられる展開が続きます。ネズミの微妙な心の変化も見逃せません。
一方、「NO.6」内で暮らす紫苑の母・火藍。公園で危ういところを楊眠(ようみん)と名乗る男性に助けられるのですが、楊眠もまた、NO.6に家族を奪われた過去を持ち、火藍と同じ気持ちを抱いているのでした。ストーリーを読み進むごとに、「あんなこともするんだ」「こんなこともするんだ」とNO.6の異常なまでの管理体制が際立ってきて、恐ろしく感じてきました。
そして古着屋で紫苑が偶然にも見つけた幼馴染み・沙布のコート。ついに紫苑が知ることとなった、沙布が連行されたという事実。紫苑は、沙布の救出へ向かうのか!?目が離せない展開、勢いのある作品だと思います。