シリアで犠牲になった後藤健二さんの本です。
アフガニスタン紛争が終結した直後に同国に入国し、取材を始めた著者。
冒頭では死と隣り合わせの取材であったことが書かれ、彼の覚悟の一端が見えました。
アメリカ軍の誤爆によって破壊された家に住んでいた一家。
父親は既に亡く、家族の生活を支えていた21歳の長男は母の目の前で誤爆によって亡くなりました。
長い間、政権を握っていたタリバンは女性は家を守るものと考え、勉強することも働くこともできず、母はただ途方に暮れるだけです。
突如、全てがその肩にのしかかった二男はまだ14・5歳。
それでも彼はアメリカ軍を憎むことをせず、彼らの中にも犠牲者がいるだろうと理解しているんです。
妹マリアムはショックのため笑顔をなくし、3歳の妹を手放すことができません。
政権が崩壊したことによって国連やユニセフの助けもあり、少女たちは学校に通えることとなったものの、母は長いこと抑圧されていたため、自らも学校に通ったこともなく、どうすればいいのか分かりません。
学校に行きたくても、行けない。
勉強したいけど、できない。
こんな現実、知りませんでした。
アフガニスタンでのことは知識として知っていたけど、一人の少女に焦点を当てたことによって、こんなにも違った印象を受けるとは思いもよりませんでした。
例の事件で著者のことを知りましたが、弱者に寄り添って書かれた本で、沢山の人に手を取ってほしいと思いました。
そして改めて惜しい人を亡くしたと感じました。