ガブリエル・バンサンは、言葉少なに、心の表現、お互いの気持ちのやり取りの表現が絶妙な絵本を数多く描いていて、様々なことを感じさせてくれます。
この「森にくらして」は、『パプーリとフェデリコ』三部作の一作目。
孤高を愛して世間から離れ一人暮らしを続けている老齢のパプーリと、パプーリに預けられた問題児のフェデリコの出会いを描いています。
一人静かに本でも書こうと思っていたパプーリにとって、フェデリコは全く異質の存在。
なかなか打ち解けることなく、自分本位で行動してしまうフェデリコにパプーリは振り回されてしまいます。
しかし、パプーリは「どうしてこれほどに、自分のことを思ってくれるのだろう」と、疑問を持つところから、ようやく心を開くようになります。
社会から離れ、二人だけの生活の中で、描かれている絵は言葉以上に饒舌です。
期待感のある一作目でした。