ちょっと大きい絵本。この大きさがトラの迫力を何倍にもしています。
また、時折でてくる映画のようなコマ割りに、感動がふくらみます。
子供の命を人間に奪われた母トラのお話です。
トラはその国の王子ウェンによって、再び母親としての優しく温かい感情を取り戻していきます。
トラの微妙な心の揺れ、ウェン王子のけな気さひたむきさが見事に描かれています。
このトラがウェン王子を受け入れることができたのは、我が子と重なる部分があったから。
でも、それだけではないですよね。
その理由はお話を最後まで読むと何だかわかってくるようです。
トラの口に抱きすがる王子の姿が印象的な表紙。
このお話が作られるきっかけとなった青銅器がモチーフとなっています。
ここからこんな壮大な温かいお話ができたのかと思うと、作者の素晴らしい創造力に拍手を送りたくなります。