娘に読み聞かせをしてストーリーを追っていくごとに、これは子供向けの体をした大人向けの作品だと思いました。
おばあさんが知らないうちに物事が展開していく、という主観は、そう、まるで認知症の進行を見ているよう。
自分の祖母の晩年を思いだし、「子供用のかわいい話」とは思えなくなりました。
これが、おばあさんではなく赤ちゃんや子供が主人公だったらこんな感想は抱かなかったでしょう。
もちろん、無邪気に子供と一緒に「その辺にこんなかわいいおばけがいるかもねー」と楽しむふりもできましたから、子供用としても使える作品です。
もしも自分の親が認知症になってしまったとき、切羽詰まる前に読み返したい作品です。
「おばけがやったのかもねー」とのんきに笑える強さがその時にあればいいけど。