思春期の子供の繊細な心を、そうっと覗いてみたような感じでした。
章ごとにお話の主人公が変わり、また、年代も前後したりするので、お話のつながりを考えながら読み進めました。
未来の自分との接触、しゃべるぬいぐるみ、人形からの手紙などファンタジーな要素が沢山ありますが、お話し自体は現実から大きくそれることはなく、そこが子供から大人へ移り変わろうとする思春期の少年少女の内面をうまく表現しているのだろうなぁ、と思いました。
思春期というだけでも悩みは多いでしょうに、更に、両親の離婚、性同一性障害、闘病、など大きな壁に突き当たり、心が壊れそうになりながらも乗り越え、生きようとしていく子供たちの姿がとても印象強く、勇気をもらえました。
ひとつだけがっかりした箇所がありました。芳子がどうしても会いたかった友達というのが、詩帆だったらよかったなぁ、と。
10歳の娘にはちょっと早いような気がしたので、6年生になったら勧めてみようと思います。