表紙と内容から手強いイメージがあり、5歳娘に読めるだろうかと思っていましたが、絵の迫力もあり、簡潔にまとめられていて、充分に理解できたようです。また読み応えがありました。
トラの住むところに近い国では、逃げるわけにもいかず、トラとの付き合いは悩ましく恐怖でもあっただろうと思います。憎しみを愛情にかえて、ともに信頼して生きて行くことを選んだ、理想のひとつの形として美しい物語です。
表紙の絵は迫力のあるトラと、その口の牙の間に眠っているウェン王子です。娘に「お母さんの口の中で眠れる?」と聞いてみると、「いやだ〜。」と娘は迷いなく返答しました。
そうでしょうね、口のなかで眠れるのはよほどの信頼がないとできないことだし、トラにしても、わが子と同じような愛情をもっていないとできないことだと思います。
母親のお后さまと育ての親のトラと、ふたりの母親をもち、それをトラも理解し、お后さまも堪え忍んでいたのがわかって・・・その場面では、声がつまってしまいました。そこはまだ娘にはわからない感情でしたが。