このお話は、オペラ歌手の中島啓江さんの幼少の頃の体験談をベースに描かれた物語ということでした。
もうすぐ引っ越してしまう主人公。今まで、自分をいじめてきた相手にも、「ありがとう」の言葉を残していくというストーリー。主人公への理不尽な攻撃。しめつけられるような思いが伝わってきて、涙が出そうになりました。
娘には、『「ありがとう」と「ごめんなさい」は、一番大切なことば』と教えています。
でも、自分に攻撃的な相手に対しても「ありがとう」と言うことは、大人でも難しく勇気のいること。その壁を乗り越えることができたからこそ、今の中島さんの輝きがあるんですね。そして、その壁を乗り越える強さを持てたのは、お母さんの大きな愛情。
本当に複雑な現代の人間関係。娘も、これから幾度と壁にぶつかる日が来るでしょう。乗り越えていかなければいけないのは、娘自身。
このお話を読んで、壁を取り除くのではなく、後ろから見守り、すこしだけ背中を押してあげられる母でありたいなと思いました。