奈良の唐招提寺の金堂の四隅にいる「すみ鬼」。
すみ鬼は、お堂の隅で屋根をささえ、疫病や魔ものからお堂を守っています。
その一体の鬼だけ、表情が違っていて、
泣いているのか?笑っているのか?いったいこれはなんだろう?
と、作者がこのすみ鬼に惹きつけられたのがきっかけで、
この物語が生まれたそうです。
たしかに、こんなちっぽけなすみ鬼が、
すごい形相で屋根をささえているのをみると、
なぜこんなところにいるのだろうと、
いろんな想像がふくらんできます。
鬼は、夢を叶えるために、宮大工の少年ヤスの力をかります。
すみ鬼が、青鬼に変身していく様に、どきどきしました。
これから、どうなるんだろう?
鬼の世界も、なんとも奇妙で、怖いけど気になるので、
先を読み進めていきたくなりました。
ヤスが、鬼たちに見つかった時は、もう、どうなるかと
ハラハラしました。
鬼たちの姿は、ちょっと怖い。
でも、ヤスがコマをまわすと、驚いたり喜んだりする
鬼たちの姿を見て、親しみが湧いてきたりして・・・
すみ鬼が逃げて、お堂はどうなるんだろう。
このまま、逃げていなくなるのか?
ちょっと心配でした。
逃げたすみ鬼は、ちゃんとお堂にもどってきました。
そして、その顔つきは、前と違って、
どこか嬉しげで、今にも笑い出しそうな、
満足した鬼の顔になっていたのをみて、
これでよかったんだろうな〜と思いました。
歴史や仏像などにうとい私には、ちょっと読むのは大変だったけど、
次から次へと想像が膨らんで楽しめました。
2010年の高学年向け全国課題図書になっていました。
文字がかなりあることや内容も専門的な言葉なども出てくるので、
小学生高学年のこどもたちにおススメします。