寂しげなクーニーさんの絵と、散文のようなオーパル・ウィとリーの文章。
なんとなく素通りして、作者の後書き、訳者の後書きを目にしたら、この絵本に描かれているものが、とても大きく思えてきました。
文章はオーパルが5、6歳の頃に書きとめた「日記」だったのです。
その日記は、義理の姉に破かれたものの捨てきれずにオーパルがしまっておいたものだったのです。
その「日記」が形になったのはオーパルが20歳になった時。
どうしてこのようなことになったのでしょう。
破かれたのは義理の姉が目にした内容に対する怒り?
どうして義理の姉と一緒に生活していたのでしょう。
オーパルは小さくして両親を失っていたのです。
そしてこの絵本に登場するのは養女として彼女を迎え入れた新しいお母さん。
オーパルは寂しかったのです。
20歳にしてこの絵本を出す際に、オーパルには日記に書かれたほどに養母に憎しみはなかったに違いありません。
ただ、5、6歳のオーパルには、養母は厳しい存在だったのです。
様々に心に染み入る要素をもった絵本です。
寂しさの中で仲良くなった動物たちや、木にまで付けた名前はとても意味をもった名前ばかり。
幼い子供が伝説や歴史上の人物の名前を、繰り出せたのは死んだ両親が残した「本」を読んで得た知識。
子どもの視線で書かれていながら、年齢以上の深みと子どもならではの純粋さに満ち溢れています。
何度も転居を繰り返したオーパル。
噛みしめるほどに味わいのある絵本でした。