読み終わってからずっとこの本のことを考えている自分がいて、この結末をどう読み取っていいものかと困惑しています。
一つには戦争はいつ終わるのか?ということ。
終戦=平和な生活ではないことをずしりと、いや胸の中までえぐるように迫ってくると表現すればいいのか。
戦争で片手を失った17歳の郵便配達人が時に届けなくてはいけないのは「黒い手紙」と言われる戦死を伝える手紙です。
戦時中であれば、手紙も人と人との連絡を果たす役割だけでなく、読んだ人を絶望の淵へと追いやる手紙を配達することになる非情さ。
誠実に任務を果たそうとする配達人の日常から透けて見えるのは、戦時を生きる普通の暮らしです。
軍の主要人物ではないごく普通の人たちが体や心に抱えた痛みと生きる姿とその結末に、戦争に終わりはあるのかを自問しているのです。