農家の息子サンが、家族のために山を動かすお話です。
山を動かすために毎日少しずつ岩を掘るサン。その姿は、無理だよ、やめなよって言ってあげたくなるくらいなのですが、サンの母親は‘この子は出来る’と信じています。掘り進めるサンに奇跡の始まりが訪れます。なにやら不思議な力を持ってそうな老人との出会い。物語はここから一気にファンタジーの世界へ・・・。
山を動かしたのはリュウかもしれません。リュウを使ったのは不思議な老人かもしれません。でも、サンの熱い思いや母親の子を信じる思いがなければ、山を動かすなんて奇跡は起きなかったでしょう。サンが山を動かしたことには違いありません。
私は子どもたちのことをそこまで信じることが出来るだろうかと考えてしまいました。子どもの力を信じて見守ることは、とても難しいこと。だけど、身近な存在である親が、子を認めて信じることが、子どもの成長には大切なのだろうと思います。
迫力の絵が、壮大なストーリーにぐいぐいとひきこみます。ラストのリュウが山を動かすシーンは圧巻です。読み終えて本を閉じた後も余韻にひたってしばらくぼんやりしてしまいました。