以前から、素敵な幼年童話だと思っていました。「ものすごくブームになって誰もが知っている」という本ではないのですが、長く読み継がれていて、私にとっては「知る人ぞ知る幼年童話」という感じ。この本を読んでいる子には「おぬし、やるな、いい本知ってるね〜」という感じ(笑)。
わかりやすく簡単な言葉、そして少ない言葉でお話を組み立てるので、まず「幼年童話を書く」ということ自体が難しいと思うのですが、そこに、推理小説の要素、面白さがある。ちゃんとした問いとちゃんとした答えがある。そんな なかなかのレベルの本がシリーズになっている。ということで、この『きえた犬の絵』を含む「ぼくはめいたんていシリーズ」は稀有な存在、得難いシリーズだと思います。
この本には、字を読んでお話の世界に入っていく楽しさ、親しみやすい名探偵と一緒に謎を解く楽しさがあります。この本を喜んで読む子どもは、この後、どんどん本に手を伸ばす読書好きな子になるように思います。絵も楽しく、「きえた犬の絵」の謎ときは、この絵があってこそなので、まさに絵本から童話への橋渡しになる本です。とってもおすすめです。