一人っ子が両親の愛情を一身に受けられた時期が終わる。兄弟の誕生の時、よろこべない子もいる。自分にも経験があるから、この子が必至に自分の居場所と両親の愛情を減らさないように頑張るのが痛いほどよくわかる。後から生まれてくる兄弟に、良いものを全部奪われてしまうと思って、親にさんざん泣きついたことがあったと聞いた時、自分は下の兄弟をあまり好きになれない理由がわかったきがした。
兄弟というのは、微妙な問題。
このペンギンの子と同じ経験をした人も多いはず。でも、いつかは巣立っていき、大変な時もひとりでどうにかしなければならない時が来る。子どもの成長の過程で乗り越えていく試練を、優しいタッチで丁寧に、読者にも語りかけるように描いている。ふんわりと温かい、優しい時間を経験できた子と、いっぱいの愛情を全力で注ぎこんだ両親の、両方の幸せを味わうことができる作品。兄弟がいない人にも、この切なさを体験していただきたい。