ベスコフさんならではの落ち着いた文体とリアリティに迫る描写。
《魚はたいてい、じぶんのおとうさんやおかあさんがだれなのか、わからないのです。》
に、『え?それはそうだけれど、そんな現実的な事を書いちゃってこの先どうなるのやら?』と思ったら、周囲の魚が見守ってくれていました。
知りたがり屋のスズキの子スイスイには、テンテンおばさん(鰈)・ピカピカおじさん(鯉)・ガミガミおじさん(川梭子魚)が育ての親のようです。
ニンゲンを見てみたいスイスイ、ついにトーマスに釣られてしまいます。
この後どうなるのかと思ったら、「だいじょうぶだよ。すぐにガラスの水槽に入れてあげるから。…!」にホッとしました。
どうやってスイスイが湖に帰れるのか考えながら読み進めました。
おじさん・おばさんがスイスイ救出に立ち上がります。
文字通り立ち上がったんです。
これだけ、写実的な描き方のベスコフさんが、魚を歩かせました。
笑いよりも先に驚きました。
終盤のトーマスのおよぎの練習も、かえる直伝というのが微笑ましい。
ガミガミじいさんの最後の言葉に息子はうけていました。
トーマスとスイスイはこの湖でこれからも遊べそうですね。
何があっても、プクプクバーバが力を貸してくれるでしょうから。