絵本ナビの評価で、いつも最上位にいるので読んでみました。
私が投稿する時点で38名全員5をつけているのですから、驚きの一冊です。
表紙からすると少し古めの絵本かと思ったらさにあらず。
2005年の作品で、邦訳は2007年。
作者のチェン・ジャンホンは、中国生まれでパリ在中とありましたが、確かに絵は水墨画なのですが、こま割に斬新さを感じました。
お話は、子ども達を猟師に殺されてたトラが村を襲うシーンから始まります。
トラの怒りを鎮める方法として王に予言者が告げたのは、ウェン王子をトラに差し出すこと。
ウェン王子は、トラと森の奥で出会うのですが、トラは我が子にしたようにウェンをくわえるのです。
それから、トラとウェンの暮らしが始まります。
動物に育てられた子というのは、実話でも聞いたことがありますし、物語でも登場することがあるので、さほど感銘は受けなかったのですが、そこに描かれている母の愛情に心打たれるものがありました。
特に、ウェンがトラの古傷に触った時にトラに蘇った怒りが、鎮まっていくシーンは秀逸です。
そして時は流れ、ウェンは助け出されるのですが、ウェンは人間からトラを守ります。
普通話はここで終わりですが、この作品の凄いところは、エンディングに新たな展開をさせていること。
文句なしのエンディングだと言えるでしょう。
話も良く練られているし、大型の絵本を縦横無尽に活かした迫力のある絵も素晴らしい。
でも、世のお母さんを虜にしたのは、根底に流れる母の子を思う気持ちに違いないと思います。
これは、必読書と言ってもいいくらいオススメの絵本です。