ヤギの育て方、種類、性質、ヤギ乳を使ったお料理、歴史などを教えてくれる学習絵本・実用書。
この絵本を読んで、「子どもの頃に、ヤギの乳を飲まされた」と言っていたおじさんの話が、ようやく現実として理解できた。
ヤギと言えば、うちも実家が農家だったし、近所も農家だったが、飼っている人がいなかったから、アニメの「アルプスの少女ハイジ」に出てくるキャラクターとしての印象しかなかった。大人になってから、フランス産のヤギ乳のチーズを食べる機会はあったが、ヤギと言う生き物について、そんなに知ったり、触れ合ったりする機会はないまま今に至る。
だから、知らないことがたくさんあった。
本書では、日本の農村で飼われていたヤギの様子がイキイキと描かれている。著者が子どもの頃は、ヤギは普通に飼育されていた動物だったという。
ヤギの出産や、世話、餌や病気について、そしてヤギを殺して肉として食べることについても、しっかり向き合って真面目に教えてくれる。食用として飼う場合、避けては通れぬ「と殺」については、「キミが決める」という言葉で、読者に判断をゆだねているところが、心に残った。
私は、動物を飼うと、どうしても「家族」だと思えてくるので、きっとヤギを飼ったら、最後まで家族の一員としてお世話をすると思った。
「ヤギは家族や親戚だけで食べきれる」という説明が、リアルだ。私たちのご先祖様は、モノのない時代、今よりもずっと不便だった時代に、動物と共に生きて、命をつないできた様子が想像できて、神妙な気分になった。
命というものについて、考えさせられる。