「落葉」は冬の季語です。
『歳時記』にも、「天気のよい日の芳ばしいような匂い、
散り重なったものを踏む音など、俳句にとどまらず詩情を誘う」とあります。
待人の足音遠き落葉かな 与謝 蕪村
そして、それはおとなだけでなく
子どももまた同じではないでしょうか。
いわさゆうこの『おちばのほん』は、
子どもたちの落葉の興味を満たす格好の一冊です。
この季節、街のいたるところにさまざまな落葉があふれています。
かえで、もみじ、いちょう、さるすべり、けやき、さくら…
子どもたちが拾ってきた落葉を見て、
それが何の落葉かこの絵本で観察ができます。
図鑑のような絵本なんです。
なにしろこの絵本に載っている落葉は120種類以上なのですから。
そして、気がつくかもしれません、
あそこにあるのはけやきの木なんだって、
あるいはさるすべりの葉は赤くなるんだって。
いわささんの細密画のような絵は
写真ではないやさしさを感じます。
そして、ほら、聞こえてきますよ、
かさこそ、かさこそ、おちばの音が。