絵本作家いわむらかずおさんの代表作は、野ネズミの家族を描いた『14ひき』のシリーズ。
その絵本でもねずみ家族が自然と共存して生きる姿が描かれています。
そんないわむらさんが1998年に栃木県の山村に開いたのが、「いわむらかずお絵本の丘美術館」で、この『はたけの絵本』の表紙見返しに、その全貌が載っています。
見て驚くのは、その広大な土地にたくさんの畑があること。
おそらく、この『はたけの絵本』はそんな畑の四季折々の風景を描きとめたものなのでしょう。
畑から野菜だけでなく、絵本まで育ち、できました。
絵本は1月から12月までの毎月の様子が描かれています。
1月は雪に埋もれただいこんとのうさぎ。2月は農場の納屋の中のあずきとてんとう虫。3月は土の中のじゃがいもともぐら、といったふうに、畑の野菜だけではなく、共に暮らす生き物たちの姿も描かれています。
私が一番好きなのは、7月の「きゅうりとかまきり」。
まだこどものきゅうりがふたつ、そこにのったかまきりが二匹描かれたページと、採り頃になったきゅうりとそれにつかまっているようなかまきりを隣のページで描いたもの。
そうです、きゅうりの成長は早いですもの。
この絵本は各月の文のおしまいにQRコードがついていて、それを読み取って開くと、朗読を視聴できるようになっています。
まさに大収穫の絵本です。