絵本『アグネスさんとわたし』の作者ジュリー・フレットさんは
カナダのバンクーバー在住の、作家で画家。
お父さんがカナダの先住民族クリーということもあって、
作品を通してクリー語の保存につとめているという。
この絵本の主人公の女の子キャセレナもクリー族の少女という設定で
彼女が話す言葉にクリー語が使われています。
訳ではそのあたりがよくわかりませんが。
では、この絵本がそういう先住民族の問題に特化しているかといえば
そんなことはありません。
むしろ、タイトルが示す通り、
アグネスさんというおばあさんと少女の交流の物語といえます。
丘の上の新しい家に引っ越してきた少女キャセレナ。
その家の近くに、あたり一面スノードロップという花が咲いている野原があって、
そこの家に住んでいるのがアグネスさん。
土でものをつくるのが大好きなアグネスさんと仲良くなったキャセレナは
毎日のように遊びに行くようになります。
冬がきて、年老いたアグネスさんはよわってしまいます。
そんな彼女にキャセレナはたくさんの絵を描いて励まします。
たくさんの絵を見て、アグネスさんはこういいます。
「わたしの心にむけた、詩みたいね」って。
ジュリー・フレットさんの絵本そのものが
読む人の心に向けた詩なのかもしれません。
そんなことを感じさせてくれる、絵本です。