犬や猫、小鳥といったペット類は私たちの身近にいる動物です。
牛や馬、鶏といった家畜類も、私たちの生活に欠かせない動物です。
では、動物園で飼育されている動物たちはどうでしょう。
やっぱり私たちの生活を潤わしてくれる動物たちに間違いありません。
そんな動物園の動物たちが時にとてもひどい仕打ちを受けることがあります。
それは、戦争の時。
動物園にいるライオンなどの猛獣は処分された悲しい体験があります。
日本で6番めに開園した古い動物園である熊本市動物園(現在は「熊本市動植物園」でも、
戦争中に同じことがありました。
そして、戦争以外にも地震などの大きな災害の時、
動物園は休園しなくてはいけない時があります。
絵本『あしたの動物園』(作 野沢悦子/絵 いたやさとし)は
2016年4月14日と16日に起こった熊本地震で休園を余儀なくされた
熊本市動植物園がどう動き、どう再開していったかを描いた物語です。
そして、動物たちを一時的に避難させた際に
戦時中の悲しい話も描かれていて、
動物園と私たちの関係性がきちんと描かれていきます。
野坂さんの文章は丁寧な取材と熊本市動植物園の協力もあってとてもわかりやすく、
それでいてきちんと物語となっています。
そして、いたやさんの絵は動物たちの姿だけでなく、
動物園の飼育員の皆さんや来園客の楽しそうな表情もほのぼのとして
物語ととてもよく合っています。
たくさんの時を経て、動物園の姿も動物たちとのかかわりも変化しています。
この絵本から「あしたの動物園」を夢見るものいいかもしれません。