珍しい組み木による絵本です。
作の中村道雄さんの前書きに
「人間も自然の中の一員なのだという事を訴えかけたいと思っておりました。そんな考えの中で生まれたのが、木で絵を作るという(組み木絵)という表現方法でした」
とありました。
そんな志を持って、大人にも見てもらえる絵本を目指して作成された絵本ですが、充分納得できる出来栄えの作品となっています。
「組み木絵の出来るまで」が巻末にありますが、その作業は気の遠くなるような工程を経て作成されるのが良く分かります。
単に木を切れば良いというものではなく、その色合い、バランスを考えて木を探してこないとなりませんから、その手間たるや、想像を越えたものだと思います。
でも、その自然の美しさは、見る者を魅了するに充分なもの。
木ならではの木目の美しさ暖かさがあって、作者の意図は、読み手に充分伝わる事と思います。
その絵に中山千夏さんが、詩を添えていますが、A〜Zの文字にあわせた構成も洒落ているものでした。
1つ残念なのは、折角、紙質も硬いものにしているのですから、絵本として見るだけでなく、飾れるように工夫が欲しかった点。
インテリアとして、気にいった絵を飾りたいというニーズは必ずあるはずで、見開きの絵が水平になるような装丁であれば、なお良かったと思います。
本体2500円+税という定価を鑑みても、もう一工夫欲しかったと思います。