6年生の悟は体育館前で一匹の黒ネコに出会う。
頭の中に話しかけてくる不思議なネコに望みを聞かれ答えると、次の瞬間、悟は別の世界に立っていた!
元の世界に戻るには、「世界で一番たしかなもの」を捕まえなければならないというが…
四半世紀前に発表された作品にも関わらず全く古びない、「行きて帰りし物語」の良作。
(強いて言えば、文体と登場人物の名前にやや時代を感じるか)
竜と戦う冒険物であると同時に、人との信頼関係・歳をとるということ・希望についてなど、大切なメッセージが含まれている。
児童書では作者のメッセージが前面に出過ぎていてうるさく感じる物も少なくないが、この本では素直に心に響いてくる。
よく考えると怖い世界設定だが、全体を流れる空気は明るく、読んでいて心地よい。
悟が最後に見つけた「たしかなもの」の答えが良い。