「グリム童話」は、子供向けから大人向け、取り方によってはとても怖いお話としていろいろなバージョンがあります。
そんな中で、よく知っているはずの『ヘンゼルとグレーテル』を読んだときに、いくつかの疑問を見つけました。
ヘンゼルは何歳だったんだろう?
ヘンゼルとグレーテルの家族構成は?
二人が連れて行かれた森はどんなところだったんだろう?
このジェファーズ版は、まず絵の描かれ方で小学校高学年くらいのイメージで描かれているようです。
森にはいろんな動物がいて、悪意のない描かれ方をしています。
繊細な画調は子供向けというよりもヤングアダルト版かと思います。
そして、大庭みな子さんの訳。
ヘンゼルとグレーテルを疎ましく思った母親は、木こりの妻であることは解るのですが、文中の大半を「女」という表現で通されています。
細かい説明を抜きにして、読者に委ねる形は小説家としての姿勢でしょうか。
そう考えると、文章は行間に説明を埋め込んだようにも思えます。
兄弟にとって、同居している「お母さん」は、母親ではなく父親の妻であって、自分たちとは愛情で結ばれない「女」なのです。
(スゴイなー!)
ストーリーは誰もが知っているのですが、二つのポイントを感じました。
一月あまり魔女に捕えられていた兄弟が魔女を退治して家に帰り着いたとき、母親は死んでしまっていたのです。
このあっけない描かれ方に母親像の薄さを感じました。
どんな夫婦だったのでしょうか。
もう一つは帰り道の川で二人を対岸に運んでくれた鳥。
この本では「アヒル」と書かれています。
本によっては「カモ」だったり「白鳥」だったりするのですが、アヒルには重すぎるだろうと思ってしまったのです。
本当はどんな鳥だったのでしょう。
ヤングアダルトにお薦めです。