昔、あるところに、病気のお母さんと3人の兄弟が住んでいました。
ある日、お母さんから「奥山の山梨が食べたい」と言われた兄弟。
太郎、二郎、三郎、順に一人ずつ山に出掛けます。
いや、太郎が帰ってこないので二郎が、二郎も帰ってこないので
三郎が、という具合にね。
昔話って、子どもたち、好きですよね。
その中でも、このおはなしは、わが家の双子が大絶賛!
文はわかりにくいところもあるし、絵もちょっと怖いけど、なんのその。
子どもの冒険心をくすぐるのでしょうか。
加えて、「ゆけっちゃ かさかさ」「ゆくなっちゃ がさがさ」など、
何度も出てくる音の楽しさもこの本の見どころ聞きどころ。
文章の中で、「まっかみち」(またにわかれたみち。←注釈あり)と
「ふくべ」(ひょうたん)の二つだけ、子どもたちに「なに?」と聞かれました。
描写は怖いけれど実は優しいばあさまと、おどろおどろしい沼の主、
そして主の腹から出てきた青い顔をした太郎・二郎。
子どもたちの興味を引いて放さない、一見地味だけれどすごい昔話です。
お母さん思いの兄弟が、最後に山梨を持ち帰り、ハッピーエンド。
元気になったお母さんと一緒に働く兄弟の、なんと幸せそうな顔。
ポプラ社から出ている「なしとりきょうだい」は、またちょっと違うお話でした。
読み比べてみるのも楽しいですね。