さっちゃんは、 おかあさんの おおきくなった おなかを さわりながら ねんがんの ままごとの おかあさんになる けついをします。
「きょうの おかあさんは だれですか?」のことばに さっちゃんは いちばんのりで なのりでます。 ところが、 まわりから 「さっちゃんは おかあさんには なれないよ! だって てのない おかあさんなんて へんだもん。」 というこえが きこえてきました。
とたんに さっちゃんは ようちえんを とびだし いえにむかって はしりだし いえにたどりつきます。おかあさんに、 「おかあさん さちこのては どうして みんなみたいな ゆびが ないの? どうしてなの?」と といつめます。
おかあさんは さっちゃんを だきしめながら ていねいに やさしく せつめいします。
そのご なんにちか さっちゃんは ようちえんを やすみます。
あかちゃんが うまれ おとうさんと びょういんに いき あかちゃんと たいめんします。 かえりみち おとうさんと てのはなしを します。
つぎのひ あきらくんが あらわれ チョコレートを とどけて かえります。
よくじつ さっちゃんは ようちえんに ふっき します。
淡々とお話は綴られています。期待に胸ふくらませ、「ままごとのお母さん役」を実行せんとする時に、「拒絶」された際の感情、お母さんの「上手」な説明、お父さんの「見事」なフォロー、意外な出来事をきっかけに、園に復帰する過程のそれぞれと、さっちゃんが成長して、もっと複雑な心模様をきたす時に味わう感情・思いが、幼児にも届き理解されるような「語り」が認められているということに、深い感動と驚きを体験しました。
傘寿を1年有余に控えているレビューアーもあらためて、今さらながら、「絵本」の「威力」に驚き、感じを深くもちました。