長谷川義史さんの2008年の作品で、ご自身の実話。
お父さんとのエピソードが一つ一つ大切に綴られている、長谷川義史さんの渾身の一作と言えるもの。
私にとっては、正に珠玉の1冊と言える作品であり、心の宝物となっています。
物語は、
「はいけい、てんごくの おとうちゃん、
げんきに していますか?」
で始まります。
これを読んだだけで、私はもう駄目です。
自分自身と照らし合わせてしまい、子供達と、こんな風に1つ1つのエピソードを紡ぐことができているのか?自問自答してしまい、反省することしきりだからです。
長谷川少年は、こう言います。
ぼくは
「かわいそうに」と ひとに
いわれるたびに おもうねん。
ぼくより おとうちゃんが
かわいそうなんと
ちがうやろかって。
子供って、周りの大人が思うよりも、現実を見据えることができるのかも知れません。
でも、この一言は、心の琴線に触れるもの。
こんなことを、子供に思ってもらえるパパでありたい、心からそう思えてなりませんでした。
長谷川さんの描く世界は、昭和に彩られていて、私自身と重なる部分が多くいつも自分自身が感情移入してしまいますが、特にどっぷりと浸かってしまった感じです。
背表紙のセピア色の家族のポートレート、おめかしして出かけた動物園でしょうか?
確かに、自分自身が子供の頃、何故か動物園に行くときに、おめかしして出掛けた記憶があります。
文中のセピア色の部分は、天国のおとうちゃんとの再会したシーンですが、これも実体験とのこと。
不思議な体験は、子供の頃ってあるもので、信じれる気がします。
どのシーンをとっても、釘付けにされていましました。
ただ、残念なのは、子供に読み聞かせできないこと。
とても平常心で読み聞かせできるとは思えないからです。
世のお父さんに、是非一読して欲しい作品です。