まず最初に、私の感想、ネタばれがあります。
この本、四年生の娘と二年生の息子と私が読んでいますが、主人公の始と同学年の娘の感想は、普通かな、らしいです。息子は面白かったらしいです。
大人の私はというと、一回目読んだときは、普通だったんだけど、それでも後からちょっと気になるところを、ちらちら読んでいたら、面白くってぐんぐん引き込まれていきました。後から読むと、一つ一つのシーンの深さに気付かされるというか、いや、読解力がある人なら、最初からどんどん引き込まれるのかもしれませんが。
担任の市田先生って、かなり嫌な先生だけど、そんな先生でも人の心は失ってはいなくて、先生の心の中からふわっと飛び出したのがびりっかすさんなんだろうなと思います。「黒ぶちめがねをはずした市田先生は、びりっかすさんにそっくり」とありますが、びりっかすさんは、自分の本当の場所(市田先生)の中に戻っていって、今後はびりっかすさんがいなくても、この先生なら子どもたちが心が一つになれるような、とてもいいクラスでいられるのかなと思いました。
そして、びりっかすさんの正体に、作者の人間に対する信頼というものを感じました。
頑張ることの意味とかもいろいろ考えさせられて、そういう所も素晴らしい作品ですが、私が一番感動したのは、びりっかすさんの正体でした。深読みでしょうか?
作者の思いは全然違うかもしれないですが、子どもの心に寄り添えているこの作者は、本当にすごいと思いました。
ところでこの本、ハードカバーと文庫本、両方で出ていますが、我が家にあるのが文庫本なので、こちらの文庫本の方に感想を書きましたが、偕成社文庫は、他の児童書の文庫本からすると、サイズも大きめで、この本に関しては字も大きく、文庫本でも、かなり読みやすいと思います。