自分の努力も虚しく受験に失敗してしまったツヨシくん。
追い打ちをかけられるようにお父さんに諫められ、駆け出した先が長野に住む大叔母さんの春さんの家。
春さんの案内で訪れた「無言館」。
出征の直前まで筆を置かなかった画学生さん。
息子の才能を信じ、貧農の全財産をはたいて美大へ入学させて数ヶ月後、戦地へ送り出し帰ってきたのは空っぽの骨壺。
そして、春さんの若い頃の話。
春さんの切なく淡い恋も愚かな戦争のため砕け散ってしまったページに、涙が出てきました。
どんなに努力をしても戦争というどうにもならないことで、人生が変わってしまった戦没画学生の作品に触れ、ツヨシくんは生き方を学びます。
戦争は始まってしまえば、一個人の力では止められない恐ろしいものであることを改めて痛感しました。
昨年、この作品を読んだ後、タイムリーなことに近くの美術館に「無言館」展が来て観に行きました。
たくさんの作品と遺品を目にした息子は、読書感想文を書いていました。
どの作品からも、学生さんたちの「もっともっと描きたい!」という魂の叫びが伝わってきます。
この作品を親子で読み、たくさんのことを語り合う夏休みも有意義かと思います。