唐招提寺の邪鬼の話です。
唐から鑑真の乗った船に乗り込み、日本にやってきたという鬼。
日本の鬼と勝負がしたかったのだけれど捉えられて、唐招提寺の四方の屋根を支える隅木に据え付けられてしまった鬼。
鬼の無念さを知った、少年宮大工のヤスの純粋さが鬼を解き放つことになりました。
吉野の山奥に住む日本の鬼と勝負するために、鬼はヤスを伴って出かけるのですが、実によい鬼だと思いました。
勝負に勝って寺に戻った鬼は、再び捉えられて元の場所に縛りつけらてしまうのですが、満足したのか表情が変わっていました。
唐招提寺の由来や四天王など、奈良情緒をたっぷり含んだお話です。
時代設定が江戸時代であるのも、話を膨らませるのにとても良かったと思います。