バーニンガムさんの作品の中ではメッセージが前面に強く押し出されている作品だと思います。
1999年の「南紀熊野体験博」を記念して出版されたものだそうです。
地球という星を何千年もかけて思いを込め作り上げた神は、本当にとことんくたびれきって眠ってしまい、そのまま何万年も眠ったきりでした。
満足のいく出来映えに、きっと眠りも深くなったことなのでしょう。
そして、ある日目を覚まし、地球という星が今はどんな星か二人の人間の子どもと共に見に行くことにしました。
「なんてことだ」という神の驚愕と落胆の叫び。
この世界を大事にするようにと人間をもっとも賢い生き物に造ったのに、ことごとく汚され壊されている世界。
「・・・、何を、ぼくたちこどもはしなければならないでしょうか?」と神に問う子どもたち。
神は数々のメッセージを残し、再び深い眠りに入ります。
子どもたちは、でかけました。
環境破壊の源へ、宗教間のもめ事の場へ、戦争の先頭に立っている人々のもとへ。
そして、世界で何が起きているかちっとも気にしない人たちや、自分は何もしない人たちのもとへ。
ここへきてドキリとさせられます。
対岸の火事のような、今・今の事ではないというような、そのうちに賢人たちの知恵が寄せ集められきっと良い方向へ変わって行くんじゃなかろうか、人間はそんなに愚かじゃないという慢心や根拠の無い希望的予測を抱き私はこの年齢になってしまいました。
確かに私も何もしない人なのかもしれない。
この二人の子どもは、精力的に神のメッセージを伝え歩き、再び神が目覚め、地球を見にやって来て、・・・。
痛いところをつかれる作品でした。
こんなエンディングが実現できるよう、まずはこの絵本を子どもたちに紹介しましょう。
高学年から作品の趣旨を読み取れるのではないでしょうか。