吹雪の中で金色のキツネに命を助けてもらった父親は、三人娘の誰かがキツネのお嫁さんになることを約束してしまいます。
そして、末娘がキツネに嫁入りするように…。
最近私が読み漁っているグリム童話と似通った始まりですが、キツネの魔法が解けて若者になるという展開では、もちろんありません。
キツネに娘を渡したものの、娘の生活が気になるのは父親だからでしょう。
父ひとり娘三人の暮らしの中で、いかにも父親らしい思いやりに満ち溢れていて、お話はとても日本情緒に包まれていると思います。
父親と再会した娘は、キツネととてもしあわせに暮らしている様子。
動物と人間との組み合わせに違和感は残りますが、しあわせって何だろうかと疑問を感じてしまいました。
妙な偏見、先入観を超えてしんみりしたお話です。
父親としては、娘がしあわせに暮らしている様子。
キツネとの嫁入りを拒絶した娘たち。
誰が一番しあわせなのでしょう。
順番は抜きにして、父親は、みんながしあわせであれば良いのです。
黒井さんの絵が、情緒と幻覚感を高めています。