眠れない妹、ウィラのためにおにいちゃんのウィロビーが、やがて来る朝のために、色んなものが色んなことを「まってる」と教えてあげます。暗い部屋でスタンドのスイッチを入れてあげながら。窓を開けて夜の世界を眺めながら。
絵をデビ・グリオリという人が描いています。この人が書いた「ねむれないしろくまくん」という本も読んだことがあって、偶然どちらも眠れない子供のことを書いた本でした。共通して、眠れない子供にだけ広がる独自の世界があって、それはとても透明な、大人が忘れかけていたもののような気がします。本文を書く部分が絵の中の一部分のようにレイアウトしてあって、1ページ1ページがおとぎばなしです。
この兄弟は2段ベッドに寝ています。上がお兄ちゃん、下が妹。私は3人兄弟の真ん中だったのですが、いつも2段ベッドにあこがれていました。そしてお兄ちゃんにも。姉と妹は何か近すぎて、兄と妹という、近すぎない遠すぎない関係にあこがれていました。いないからそう思っちゃうんでしょうけどね。本の中のウィロビーはウィラの好きなものを何でも知っていて、ウィラは何回も「それってとってもうれしいな」と言うのです。ちらっと絵の中に姿をあらわすお母さんは、そんな二人の姿を見て、幸せを感じたことでしょう。読んでいる私にもそんな幸せがうつったのか、いつもは次のページ、次のページと先を急ぐ私の息子も、じーっと黙って最後まで聞いていて、最後の「おしま〜い」でほぉ〜っとため息をついてにっこりしたのでした。