表紙の少女の物憂げな佇まいが印象的です。
黒人の少女エイダ・ルースは、シカゴに出稼ぎに行った母を、祖母とともに待っているのです。
大好きを繰り返した母との思い出を心の支えとして、不安な毎日を過ごします。
迷いネコをかわいがるエイダ・ルースの心情が浮かびます。
祖母はネコに悪態をつきますが、それでも、きちんと世話してくれるのですね。
黒人の親子という状況に加え、戦争も背景にあります。
その中で懸命に生きるエイダ・ルースの姿に心打たれます。
また、出稼ぎに出た母も、決して状況に屈することなく、
娘にもあらん限りの愛情を伝えるところは、敬服してしまいます。
親子の愛の交流が素敵なトーンで語られていて、心に響きました。