小学生の頃、国語しか好きじゃなかった私にとって、先生が学年末に作る「文集」は腕の見せ所だった。でも男子の多くは「うえ〜!」と言いながらガリ版の印刷ギリギリまで提出しなかった。「お前ちょっと見てくれや」と先生に見せる前に私に持ってくる男子も何人かいて、それが本著の主人公・つよしの姿に重なった。まあこれはお話なので、途中のエピソードもつよしの書く変な詩もそれなりに形になっているのだが、昭和40年代のごく普通の男子の書く詩は、腰が抜けるほど下手だったものだ。小三の娘は先に自分で読んで「関西弁だからお母さん読んで」と持ってきた。私にしみついた大阪弁とは所々言葉使いが違ったが、ノリノリで楽しく読めた。「お母さんの読み聞かせ(ボランティア)の番の時、これ読んだら?」と娘はかなり気に入っている。私は「つよしとさつきちゃんが仲良くなるきっかけが少し美し過ぎるかな」というのが気になるけど、まあまあ好きな本になりそうです。