2004年刊行。早川書房「宇宙のあいさつ」(1963)を底本とし、13話を収録。宇宙、SFの話が多く、よく知られた昔話も筆者の独自の解釈とユーモアでSFになっていてビックリ。
星新一ショートショートセレクション(全15巻)。
15巻目は宇宙の話がたっぷり。2021年の今読んでも色あせない。
買い物の時にもらうクーポン券、テレビ、年賀状など、身近な小物を使った話は、妙にリアルで怖い。新しいモノやサービスで、人の暮らしや常識が大きく変わっていくのを体験しながら、筆者はなにか得体のしれない不安や恐怖を感じていたのかもしれない。
環境汚染や核戦争などで人類が滅亡したり、地球外に逃げ道を探ったりする様子を連想させる作品もある。最近、ようやく無料のビニール袋が有料化され、プラスチックの削減や自分で買ったものを入れる袋を持ち歩く人が増えてきたが、そんなゆっくりのんびりしていて、地球は大丈夫だろうか?
星新一の作品は、もちろんフィクションだが、こんな未来になったら嫌だな、と思う。ゾッとする未来を作らないように、と教訓めいたことも書きのこしたかったのかもしれない。
文字が大きく、どの話から読んでもいいので、ちょっとした読書にも向く。やや大人向けかも。