2010年のお薦め本として上げられている人が多かった本です。
先に同じ作者の『スピリットペアにふれた島』を読んだのですが、同じ作者でありながら作品を読んで受ける印象が違うのにまず驚きました。
この本は、脳性まひで施設で満足なケアも受けられないまま育ったピーティが主人公です。
施設内で受ける扱いは適当なものとは言えずむしろ過酷でさえあるのですが、ピーティの力を見い出して素晴しさを感じた人々から見るピーティの印象はまるで春の暖かい日差しを思わせるのです。
小説としての構成力もありますし、一つ一つのエピソードの折り込み方もうまいと思いました。
特にピーティの晩年の友人となった少年・トレバーとの出会いやトレバーの心情の移り変わりがうまく絵が描けていと思いました。
後半は涙なくしては読めませんでした。
一度読んだらその主人公の印象と共に忘れなくなる本があるとしたら、この『ピーティ」は正にそんな作品です。
ベン・マイケルセン、これから注目していきたい作家の一人になりました。
千葉茂樹さんの訳も素晴しかったです。