まず一番に気に入ったのは、なんといってもマーカス・フィスターさんならではの色彩と絵の美しさです。なかでも、キラキラ光る石には子どもだけでなくきっと大人も目をひきつけられることうけあいです。絵だけでなく、内容にも工夫があります。この本には、「しあわせなおわり」と「かなしいおわり」の二つの結末が用意してあるのです。この本を読む前は、しあわせなおわりだけでいいのでは、と思いました。しかし、二つのおはなしを読み終えたときそのすばらしさがわかりました。出発点は同じなのに、二つのストーリー展開がある。それは、その時にどういう行動に出るかで決まってしまう。この本は、人生における選択が、その後の人生を大きく変えるのだということを教えてくれる本です。こどもと読むときには、是非どうして「しあわせなおわり」だったのか「かなしいおわり」になってしまったのか考えながら読んであげたい作品です。