敵の多い原っぱで、怯えて小さくなって暮らしていたバッタが、一念発起して飛び立つ話。
1988年刊行。
イナゴ類が嫌いなので、手に取るのに躊躇した絵本。
リアルに描かれていなくて良かった。
この本は、昆虫の話というよりも、人生の話の気がした。
自然の世界、弱肉強食の世界を生きるバッタという厳しい現実に向き合う。仲間が次々と殺され、食べられていく。
そういう状況であっても、生き残りたい。
それは、戦争を体験した世代の感覚かもしれないし、人間の現実社会で競争しながら生き残っていくことを言っているのかもしれない。
個人的に大変な状況に陥っていて、四面楚歌であっても、のりこえなければならない、という時かもしれない。
そういった、困難な状況にある人が、勇気を出して、飛び出していく。そうすると、火事場のバカ力が出る。
この後、バッタがどうなったかは語られていないが、こうやって、多くの危機を乗り越えて、命がつながっていくのだろう。
気弱になった時に思い出して、読んでみたい絵本。
現実の厳しさと、勇気をもって行動することを教えてくれる。