まず最初のページで、妹のお誕生日のパーティの用意をしているお母さんと妹を前にして、姉のフランシスは、掃除道具を入れる押入れに入って歌を歌っているのです!それもその歌は、だれにもみえないからおたんじょうびもない「アリスちゃん」の歌なのです。この痛いくらいの子供らしさに、まずやられてしまいました。妹のお誕生日を祝ってあげたいけど、意地悪したい。思い切ってプレゼントを買ってあげたけど、ちょっと食べちゃった。意地悪してお誕生日の歌のときに自分の名前で歌ったけど、最後には妹の名前で歌ってあげる・・・
うちの子は一人っ子なので、こういう兄弟間の葛藤はピンとこないのかもしれません。お話が長いこともあり、あまり反応がありませんでした。でも、たとえ兄弟がいたとしても、子供がこういう子ども自身の心のゆれをつぶさに書いた本を読んで、どういうふうに感じるのかな?と思います。いつも自分たちが体験している心境だから、特になにも思わないかもしれません。でも、大人である私が読むと、こんなに中立的な立場で子供のことを子供の目で書くことができるのはすごいなと思えるのです。かえって、大人になってから読んで、子供を理解することができる本かもしれません。