大人にこそ読んで欲しい絵本だと思います。
忙しい仕事の中で家に帰れなくなったゆうじさん。
家からは、コートや椅子、最後には家も周りの池もなくなります。
最後に残ったねこの「よも」は、ゆうじさんとの約束を守るために待ち続けます。
余裕のなくなった心の中と、現実がひっくり返って、
心の中が目に見える形になると、こうも荒れ果てた世の中になるのかとぞっとしてしまうくらい。
左目が少し小さい「よも」を描く細い縦の線がさみしさをかもし出して、最後に約束を守って帰ってきたゆうじさんの「きっと、おそらく・・・たぶんね」という言葉まで凍ってしまいます。
決して明るくはない絵本で、大人にこそ読んで欲しい絵本だと思います。