やなせたかしさんが亡くなったのは、2013年10月13日で、
もう9年の歳月が過ぎたことになります。
やなせさんのことは「漫画家・絵本作家」というよりも、
「アンパンマンの」という方がわかりやすいと思いますが、
やはり「漫画家・絵本作家」の方がふさわしいように思います。
そのわけは、1975年11月に刊行された『それいけ! アンパンマン』を読めばわかります。
この頃の「アンパンマン」の絵のタッチはとても柔らかで、
まるで幼い子どもの手の感触のようです。
「アンパンマン」は1988年からテレビアニメ化されましたが、
アニメ化でキャラクターを描く線がシャープになりました。
そんなアニメのキャラクターがいけないということではありませんが、
生まれてまもない頃の柔らかな個性を大事にしたいと思います。
この頃の絵のタッチは、やなせさんの絵本の代表作『やさしいライオン』に
似ています。
この「アンパンマン」を読んだら、ぜひそちらの絵本にも手を伸ばしてみてください。
きっと、やなせさんのやさしいこころが伝わってくるでしょう。
ところで、今回そんな昔の「アンパンマン」の絵本を紹介したのは
2022年9月に新装版として新しい絵本が出たからです。
「ぼくも アンパンマンに まけずに おはなしを かきつづけるつもりです」
なんていう、1975年当時のやなせさんの「あとがき」もそのまま載っています。