絵本作家が心象風景を描いた画集ともいえる文字なし絵本。
昔話、名画、だまし絵の要素などを盛り込んでいる。
遊び心がいっぱい…昔のようでもあり、今のようでもあり…
こうあった欲しいと考える作者のユートピアにも思える。
ここに広がっているのはありそうでどこにもない非日常の世界で
町並みを見ているとまるでテーマパークのようだ。
でもそれは手元に置けば読者はいつでもいける場所なのだ…
35年前に出版された時、ぼくはすでに大人だったけれども、
幼児期に出会っていればきっと違った発見を楽しめたに違いない。
絵はどのページも俯瞰で細かく描かれている。
ごく淡い彩色が想像を妨げないのがうれしい。
ところで…夕焼けの中旅人が歩いて姿を消していく最終シーンで
乗り捨てられたままの馬がどうなるかずっと気になっているのだが…
それはまた別な話…